14万6000年前のハルビンに生きていた旧人、眉骨が突き出た奇妙な頭骨  1930年代初頭、今の中国黒竜江省のハルビン近郊で、地元の人が川の泥から奇妙な頭骨を発見した。

ほぼ完全な形をとどめたその頭骨は、眉骨が大きく突き出ており、その下に四角い眼窩があった。

 何より尋常でなかったのは大きさだ。

「巨大なんです」と、この頭骨の研究に携わった英ロンドン自然史博物館の古人類学者クリス・ストリンガー氏は語る。

 見つけた男性は、使われなくなった井戸の中に頭骨を隠した。

それから90年近くたった現在、この骨が新種の人類のものであるとの研究成果が、6月25日付けで学術誌「The Innovation」に掲載された。

新たに付いた学名はHomo longi(ホモ・ロンギ)、「竜人」といった意味だ。

 同誌にはこの頭骨について、さらに2つの論文が掲載された。

一つは年代に関するもので、この頭骨は少なくとも14万6000年前に死亡した男性のものである可能性が高いとわかった。

もう一つは、この頭骨の解剖学的な特徴から、人類の進化史のなかの位置付けを試みた研究だ。

 3本の論文に名を連ねる中国科学院の古人類学者シージュン・ニー氏は、「これまでに多くの人間の頭骨や化石を手にしてきましたが、このようなものは初めてです」と語る。

 研究者たちは、「ハルビンの頭骨」と呼ばれるこの化石の形や大きさ、他の化石との比較から、これがアジア各地で発見された同時代の人骨化石ときわめて近い関係にあると考えている。

さらにこれらの人類が、ネアンデルタール人と比べても、私たちホモ・サピエンスにより近いグループに属しているのではないかと提案している。

「素晴らしい化石です」と話すのは、スペイン国立人類進化研究センター長のマリア・マルティノン=トレス氏だ。

氏は今回の研究には関わっていない。

 しかし、今回提案されたグループ分けと種は、科学者の間で議論を巻き起こしている。

なかには謎多きデニソワ人と竜人とのつながりを示唆する専門家もいる。

デニソワ人はネアンデルタール人と近縁のグループで、数本の歯、頭骨の一部、小指の骨、顎のものと思われる骨など、わずかな化石しか見つかっていない。

 マルティノン=トレス氏はハルビンの頭骨について、保存状態の良さやその特徴には興奮していると述べつつ、「現時点では、すでに知られている他のグループとの違いがはっきりわかりません」と述べる。

(以下ソースで) 7/1(木) 18:37配信 ナショナル ジオグラフィック日本版 14万6000年以上前に、中国東北部の寒冷な地域に暮らした人類「竜人」。

(ILLUSTRATION BY CHUANG ZHAO)