脂っこい食生活がやっぱり「薄毛」の要因になる!? マウス実験で解明されたメカニズムを研究者に聞いた 東京医科歯科大学や東京大学などの研究チームが6月24日、脂肪分が多いエサを食べて太ったマウスの実験で薄毛・脱毛を促進するメカニズムを解明したと発表したのだ。

東京医科歯科大学の西村栄美教授らの研究チームは、若いマウスや成長して大人になった加齢マウスに高脂肪食を与え、生活習慣が毛髪にどんな影響を与えるかを検証した。

その結果、加齢マウスは高脂肪食を1カ月間食べ続けると抜け毛が再生しにくくなって毛が薄くなり、若いマウスも高脂肪食を数カ月間続けると薄毛になったというのだ。

また3カ月以上にわたって高脂肪食を摂取したマウスは、毛髪の元となる毛包幹細胞の中に脂質が溜まり、表皮や脂腺に変化。

その結果、毛包という毛根を包む組織が委縮するため、毛が細くなったり生えなくなったりする脱毛症の症状が現れることが明らかになったという。

そこで気になるのは、今回の実験はマウスだが、このメカニズムをそのまま人間に当てはめることができるかどうかということだろう。

またマウスに与えていた高脂肪食とは、人間の食事に例えるとどんなものなのか? 薄毛・抜け毛の予防法などと合わせて、東京医科歯科大学の西村栄美教授に聞いた。

毛包幹細胞がなくなると戻れません ――この研究のきっかけを教えて(やはり毛髪で悩んでいる人は多い?) 老化のメカニズムと制御に関する研究の一環です。

もちろん、脱毛症に悩んでいる人が多いので、そのメカニズムを理解して治療法を開発するニーズがあることもモチベーションです。

個人的には、毛包の発生の研究から始まり、再生、そして老化、脱毛症の研究など、一連のものとして取り組んでいます。

このような地道な基礎研究が少しずつ進むことによって、脱毛症など治療の難しい病気の治療法や予防へとつながるものと考えています。

――高脂肪食の他に薄毛の原因には何がある? 加齢による脱毛のメカニズムについては2016年に報告しています。

メタボリック症候群で男性型脱毛症のリスクが高くなることは疫学的な調査から知られていますが、それ以外の脱毛との関連は不明でメカニズムも明らかにされていませんでした。

高血糖をひきおこすと脱毛を促進するかどうかも調べましたが、明らかな差は認めませんでした。

高脂肪食摂取による肥満や遺伝性肥満では顕著に促進されていました。

――マウスの高脂肪食ってどんなもの?人間の食事に例えると? 普通の餌の5~6倍程度の脂質が入っており、脂分の多いステーキや揚げ物に相当します。

――薄毛が進んでしまったら、食生活を改善しても元に戻らない? 幹細胞が残っている毛包では改善の余地がありますが、幹細胞がなくなって毛包自体が小さくなりすぎていたり消失してしまっていると戻れません。

――今回の実験結果は人間でも同じことが言えるの?どうしたら薄毛を防げる? マウスとヒトの毛包は毛の生えるしくみや疾患などよく類似しており、ほぼ同じであると考えています。

若いときから幹細胞がなくならないようにバランスの良い食生活が必要です。

――この研究は今後、どんなことに役立つの? 毛包に限らず、臓器の老化と肥満の関係性、老化のメカニズムの理解、加齢関連疾患が進行する仕組みの理解など、健康長寿に向けて役立つと考えています。

「脂っこい食事は体にも髪にも悪い」というイメージをこれまでも持っていた人はいると思うが、今回の実験はまさにそれを裏付ける結果となった。

毛包幹細胞がなくなってしまったら戻れない…髪が気になる人にはとても恐ろしい言葉だろう。

枕に付いた抜け毛を数えている人はもちろん、若さに任せて脂っこい物ばかり食べている人も、髪と体の健康のため食事に気を付けた方が良さそうだ。