日本人の成人5人に1人は慢性腎臓病患者だといわれる。

沈黙の臓器である腎臓の不調を早期発見するにはどうすればいいのか。

AERA 2021年6月28日号で、AGE牧田クリニック院長の牧田善二医師が語った。

*  *  *  腎臓は沈黙の臓器です。

私が「腎臓病に気をつけて」というと、「健康診断で悪い数値は出ていないから自分は大丈夫」と考えるかもしれません。

 けれど、日本には現在、2100万人もの慢性腎臓病患者がいます。

なんと、成人の5人に1人に相当する数です。

 慢性腎臓病とは、腎臓の働きが徐々に落ちていく病気のこと。

糖尿病や高血圧など生活習慣病が引き金となり発症することが多いといわれます。

 翻って、日本は人工透析を必要とする重篤な腎臓病患者が多く、約34万人もいます。

人口あたりの透析患者数は台湾に次いで世界第2位(2017年末現在)。

毎年4万人ペースで増え続けています。

 このような事態が起こる理由は、腎臓病の前段階である慢性腎臓病を早期発見できていないからです。

 実は、健康診断で測定する「血清クレアチニン」では、腎機能の初期不調は測れません。

数値に異常が表れるのは、相当深刻な状態に陥ってから。

 腎機能の異常の早期発見には、「尿アルブミン」検査が不可欠です。

これは尿の中にアルブミンというタンパク質がどの程度出ているかを調べるもので、 腎臓が弱ってきた初期段階でも変化を示します。

知らない医師も少なくないため、特に糖尿病、高血圧、肥満の人は、ぜひ依頼して尿アルブミン検査を受けてほしい。

 人工透析は、約5時間の治療を週3回行わなければならず、生活の質を大きく低下させます。

また、血管が傷み、動脈硬化が著しく進みます。

心不全、心筋梗塞や脳卒中といった血管系の病気も高頻度で起こり、およそ4割の患者が5年以内に亡くなります。

 慢性腎臓病のことを知り、腎臓の健康に気を配ってほしい。

腎臓病で苦しむ人が少しでも減るよう、願っています。

(構成・編集部 藤井直樹) ※AERA 2021年6月28日号