陰謀論がアメリカをむしばんでいる。

「大統領選挙で大規模な不正が行われた」。

「ワクチンにはマイクロチップが入っている」。

”危険なうそ”と批判されるこうした言説は、インターネット上で拡散し、信じる人も決して少なくない。

Qアノンと呼ばれる勢力も存在感を増している。

根拠に乏しい真偽不明の情報がもたらす危うさは、現実の世界にまで吹き出してきている。

(ワシントン支局 辻浩平) トランプ前大統領 “再就任” その日、私は首都ワシントンの連邦議会議事堂に向かっていた。

今から4か月ほどさかのぼる3月4日のことだ。

インターネット上ではその数週間ほど前から、この日に「トランプ前大統領が再び就任する」という言説が出回っていた。

この時点でバイデン大統領が就任してからすでに1か月以上がたっている。

信じる人はいないだろうと、空振りを想定しての取材だった。

就任式が行われるとされる議会議事堂近くを歩いていると、5人ほどの男女が集まっているのが見えた。

「トランプ大統領の就任式を見るために来ました」。

まもなくアメリカ軍が蜂起して、「大統領選挙の不正」に関わったバイデン大統領を含む政権幹部を一斉に拘束、トランプ氏が大統領として再び就任するだろうと熱心に説明してくる。

遠慮がちに「就任式が行われるようには見えないが」と尋ねると、迷いなくこう答えた。

「まだ午前11時半です。就任式は12時からですから」 私は彼らの話に耳を傾ける。

はるばるカリフォルニア州やフロリダ州からやって来たという。

メディアは「フェイク・ニュース」なので、インターネットで「本当の情報」を調べているとのことだった。

そうこうしているうちに、時刻は正午を回る。

もちろん就任式は行われない。

彼らが信じ込んでいた「本当の情報」は目の前で否定される。

それでも信じ続けるのだろうか。

私は再び尋ねた。

「就任式は本当に行われると思いますか?」 「きょうはもしかしたら行われないかもしれませんね。でも時間の問題です。トランプ氏は再び就任するはずです。選挙での不正がなければ間違いなく当選していますからね」 「それ自体が陰謀論だと思うことはありませんか?」 私の問いには答えず、それぞれの車に乗り込んで現場を後にしていった。

彼らはいずれもトランプ氏の熱心な支持者で、Qアノンと呼ばれる陰謀論を信じていた。

つづきはソースにて