新型コロナウイルスの感染拡大で1年延期となった東京五輪も、23日で開幕まであと1カ月。

各国・地域選手団の入国も始まり、アスリートを受け入れる選手村もメディアに公開された。

選手村の村長を務める川淵三郎氏(84=日本トップリーグ連携機構会長)が単独インタビューに応じ、開催に消極的な国内世論を嘆くとともに、交流が難しい現状へのジレンマを口にした。

 ――IOC(国際オリンピック委員会)幹部も来日して、開催ムードが高まってきた。

 「前から言っているけど、開催は決まっているんですよ。IOCが機関決定しているから。開催か中止かを日本が言えるわけがないということを、みんな分かってなかった。やめるなら返上しかない。開催する、しないという議論そのものがおかしいと思うけど、そういうことを言うと罵詈(ばり)雑言の嵐。ツイッターも炎上した(笑い)」  ――反響が大きい。

 「じゃあ返上しますという時、どういう理由にするのか。感染状況がひどくて開催できないといっても、欧州各国と比べて死亡率などが低い日本がなぜ返上するのかと言われるだけ。それでも返上すれば、日本人は意気地がない、世界的なイベントを成功させる気概がないのかと、世界から蔑視(べっし)される可能性があることを誰一人語っていない。日本は臆病風に吹かれて、国を挙げた努力もしなかったという汚名が何十年、百年以上残る。子孫のプライドをおとしめるようなことを今の人たちがやっていいのか」  ――五輪好きの国民からここまで嫌われるとは思わなかった。

 「マスコミの誘導だよね。全てと言ってもいいぐらい、ワイドショーの司会が反対の立場でモノを言う。これはダメだ、ばかりで、こうすれば良くなるという議論をほとんど聞かない。日本全体が病んでいるとしか思えない。昔、全部の新聞社が戦争をやろうとあおって、国民も賛成した風潮とまるで変わらない。話も国内事情ばかり。日本だけで勝手に生きていけるわけじゃない。国際社会との連携で今があるんだから。各国が反対といっているのならともかく、IOCの中でやるなと言っている国はどこもない。後世の日本人は、この時代の人間に対して落胆し、だらしないと思うに違いない」  ――開催されれば国民感情も変わるか。

 「だからといって、それ見ろとか言う気はない。多くの人の努力によって成功してよかったと、冷静な気持ちで言いたいね。感染を抑えるために関係者は本当に努力してきた。それでも、まだ反対とか…。医師会の会長も医療危機、医療危機と言うばかり。医師会としてもこんな努力をしています、だから医療崩壊にならないように、皆さんも協力してください、ということを言わない」  ――その感染対策を徹底すればするほど、64年東京五輪で川淵さんも体験した選手村での交流が減る。

 「スポーツを通じて連帯と友情を培い、お互いを理解し合うことで世界平和を目指すというのが五輪憲章。その友情と連帯を培うのに一番重要な場所が選手村なのに、今は培っては困るという状況。その中での選手村のあり方と言われても想像を絶する。少なくとも選手がリラックスして過ごせればいいと思うけど、食事もできるだけ短い時間で、しゃべらないでと。こんな五輪は初めてだよね?」