政治や経済、宇宙や医療など多岐にわたるテーマで多数のベストセラーを発表し、「知の巨人」として知られるジャーナリストで評論家の立花隆(たちばな・たかし、本名・橘隆志=たちばな・たかし)さんが亡くなった。

 1940年、長崎市生まれ。

両親ともクリスチャンの家庭で育つ。

教員だった父が赴任していた中国・北京で敗戦を迎えた。

東京大文学部仏文科を卒業した64年、文芸春秋に入社し雑誌記者となるが66年に退社、フリーとなる。

67年に東京大文学部哲学科に学士入学した。

在学中から雑誌などにルポや評論などを発表。

74年には月刊「文芸春秋」に「田中角栄研究 その金脈と人脈」を発表した。

首相だった田中氏の政治手法を入念な取材と裏付け調査で明らかにし、田中氏退陣のきっかけとなった。

同企画は「調査報道の先駆」「雑誌ジャーナリズムの金字塔」として高く評価された。

 その後は「日本共産党の研究」など政治をテーマとした執筆を続ける一方、米国のアポロ計画で月に渡った宇宙飛行士を取材し、その内面の変化をたどった「宇宙からの帰還」や、人の死、人が生きていくことの意味を問うた「脳死」「脳死再論」など科学分野でも多数の意欲作を残した。

 後進の育成にも力を入れた。

東京大で非常勤講師や客員教授などを歴任。

ゼミ出身者が作家や記者、編集者などになった。

2007年にがんの告知を受け手術。

以後自らの体験を雑誌に発表するなど、がんに関する取材・執筆を続けた。

他の主な著作に「中核VS革マル」「農協 巨大な挑戦」「ロッキード裁判傍聴記」「シベリア鎮魂歌 香月泰男の世界」「天皇と東大 大日本帝国の生と死」「武満徹・音楽創造への旅」など。

多分野に及ぶ活躍で菊池寛賞(83年)や毎日出版文化賞(87年)、司馬遼太郎賞(98年)などを受賞した。

6/23(水) 2:00 毎日新聞 写真