欧州各地で新型コロナウイルスのインド型(デルタ型など)が猛威を振るっている。

順調なワクチン接種のおかげで一時は感染拡大を抑え込んだ英国も、デルタ型によって感染が再拡大し、 6月に予定していた経済活動や移動の制限の完全撤廃を延期した。

21日午後、ロンドン東部のショッピングセンターに設けられたワクチン接種会場には、若者の長い列ができていた。

ロンドンを含むイングランド地方では18日から、18歳以上にも接種を始めている。

親の勧めで1回目の接種に訪れた大学2年生、キーア・トレザイズさん(22)は、「早く普段の生活に戻ってほしい」と不安そうに話した。

「明らかに第3波が進行中だ」。

英政府の感染症対策専門家は危機感をあらわにする。

英国内の1日あたりの新規感染者数は、今年1月に6万人を超えた後、5月には1000人台まで減ったが、 6月に入ると一転して急増し、最近は連日1万人前後を記録している。

感染再拡大の要因は、デルタ型だ。

イングランド地方のサンプル調査では、新規感染者の96%からデルタ型が検出された。

英国型(アルファ型)よりも感染力が60%強く、入院する確率も2・2倍高いとされる。

4月中旬までに海外から持ち込まれた後、2か月弱で主流になったとみられる。

英紙フィナンシャル・タイムズによると、新規感染者に占めるデルタ型の割合は、 ポルトガルで96%、ロシアで99%に上る。

世界保健機関(WHO)によると、デルタ型はこれまでに92か国・地域で確認された。

ワクチン接種が進んだはずの英国でもデルタ型の勢いが止まらない現状には、接種回数も関係しているようだ。

イングランド地方の衛生当局によると、どのワクチンでも1回の接種だけでは、デルタ型への有効性は33%にとどまる。

2回接種すれば、英アストラゼネカ製で60%に、米ファイザー製で88%に高まるという。

英国では成人の82%が1回目の接種を終えたが、2回目まで済ませた人は約60%にとどまる。

英政府は接種加速を呼びかける一方、高齢者らを対象に3回目の追加接種を実施する案も浮上している。

英国での感染拡大は続くが、死亡に至るケースは減っている。

6月の1日当たりの死者数は最大で19人(21日現在)にとどまる。

最大で1日1200人超を記録した第1波、1800人を超えた第2波と比較すると、ワクチン接種の効果が着実に表れていると言えそうだ。

ロンドンで、サッカースタジアムでのワクチン接種に並ぶ市民ら(20日、AFP時事)