現役世代を対象にした企業(1000人以上)の職場接種が21日、本格的に始まった。

中小規模の企業や団体でも、複数で会場を共有し接種する取り組みが広がる。

参加企業の社員が会場スタッフを務めるなどの負担もあるが、接種を終えた人からは「助かる」と安堵の声が聞かれた。

(梅野光春、杉戸祐子) ◆会場を共有  「年内に打てないと思っていた。安心した」。

東京都港区の虎ノ門ヒルズで接種を受けた女性(34)=文京区=が笑顔を見せた。

 21日に森ビルが都内3カ所の「ヒルズ」で始めた集団接種に参加。

森ビル社員のほか、女性のようなテナントオフィスの従業員らも対象で、9月までに100000人の接種を見込む。

女性の勤め先は小人数の外資系法人日本事務所だといい、「1社だけなら職場接種はできなかった」と話す。

 貸会議室大手のティーケーピー(新宿区)も21日、経済同友会所属の従業員1000人未満の企業を対象に、都内3カ所で接種を開始。

担当者は「全国631社から、計22万人分の問い合わせを受けた」と話し、関心の高さをうかがわせた。

◆同業種で募集  従業員の少ない企業を集めた接種の準備は、他でも進む。

約6700の不動産業者が加盟する「神奈川県宅地建物取引業協会」(横浜市)は7月上旬から、会員企業の従業員ら約3000人に接種する。

会員企業は中小規模が多く、物件の内見や契約で顧客と対面する機会が多いためだ。

 ただ職場接種はワクチンの打ち手や会場、リハーサル、導線の準備などすべてを自前で確保するのが前提で、ハードルは決して低くない。

同協会は、事務所が近い県歯科医師会の協力で打ち手を確保。

森ビルは、会議場で予定されていたイベントを複数キャンセルし、接種会場にしたという。

◆飲食や宿泊業優先も  優先順位もつけざるをえない。

7月8日に接種を始める予定の東京商工会議所(千代田区)は「確保できる(医師や看護師ら)医療資源などの制約もあり、案内先を限定している」とする。

1日500回で80日、計4万回分を予定しつつ、特にコロナ禍で大打撃を受けている飲食や宿泊、観光業を優先。

担当者は「ワクチンを打ち、安心して接客したいという声も聞こえている」と話す。

 新興企業に出資するベンチャーキャピタルの「コーラル・キャピタル」(同)は今月23日、投資先企業など1100社、計2万2000人を対象に職場接種を始める。

医師や看護師は投資先の医療関連会社を通じて確保。

会場案内はベンチャー企業の幹部もボランティアで務める。

担当者は「自分たちで賄う部分も多いが、得られた経験を今後発表し、ワクチン接種のスピードアップにつながれば」と前向きだ。

東京新聞 2021年6月22日 06時00分