有料のテレビ放送を「タダ見」できてしまう不正なB―CAS(ビーキャス)カードを、船の乗員が使っているケースが相次いで発覚している。

 海上保安庁が摘発した件数は、この3年間で10倍超に。

取材を進めると、船乗り特有の事情が見えてきた。

 神戸海上保安部は今年5月、岡山県倉敷市の土木会社のクレーン船乗員ら15人を、不正作出私電磁的記録供用などの疑いで書類送検した。

2019年6月~20年8月、船内のテレビで有料の衛星放送を無料で見るために、不正B―CASカードを使った疑いがあるという。

 きっかけは昨年10月、神戸港に入港した同社のクレーン船に、神戸海保が立ち入ったことだった。

警察の職務質問にあたる検査だ。

 関係書類の確認に加え、着目したのは居室や食堂にあるテレビ。

差し込まれていたB―CASカードが、きちんと契約したものかどうか、乗員に尋ねた。

 すると、一人が「契約していません」。

別の船に乗っている同僚からもらった、と説明したという。

 その後の捜査で、同社の別の船などから計24枚の不正なカードが見つかった。

乗員の一人がカードを改ざんし、15人で使っていた。

有料の競馬や釣りのチャンネルを視聴していたという。

 乗員の一人は「船内に娯楽がなく、無料で見られるなら助かる」。

カードを改ざんして同僚に配った乗員は「自分だけカードを持って見るのが後ろめたかった」と供述したという。

2021年6月21日 11時37分