札幌市内の93歳の資産家の男性が、札幌市消防局に「救急車」を2台寄贈しました。

これまでの分もあわせ7台にものぼる救急車の寄贈に踏み切ったのには、自身の経験とコロナ禍の救急現場への思いがありました。

 「救急車には妻も私もお世話になったから恩返しがしたかった」  感謝の言葉を口にする北海道札幌市豊平区の岩橋芳政さん(93)は5月、同市消防局に「高規格救急車」2台を寄贈しました。

 「高規格救急車」とは、救急救命士がおこなう救命処置に必要な資器材を載せ、気管挿管や薬剤投与などの特定行為をするスペースが十分に確保された車両のこと。

応急処置をして搬送するだけでなく、医療機関に到着するまでの間に救命行為ができる車両です。

 岩橋さんの要望で1台は豊平消防署(豊平区)に、もう1台は清田消防署北野出張所(清田区)に納車され、「いわはし号」の愛称で活躍しています。

 寄贈を考えたきっかけは岩橋さん自身と妻の美代子さんが合わせて4回、救急車で搬送されたことでした。

 約1年3か月前に天国へと旅立った美代子さんは、3度体調を崩して救急車で運ばれ、岩橋さん自身も約5年前に玄関で転倒して腰の骨を折り搬送されました。

 またある年の冬に美代子さんが体調を崩した際「タクシー代わりに使ってはいけない」と救急車を呼ぶのをためらい民間の介護タクシーで病院へ。

しかし、到着に時間がかかり、「なぜ救急車で来なかったのか」と医者に怒られたといいます。

 「救急車に世話になった。お礼をするなら具合が悪い人は誰でも使える救急車がいいと思った」と、寄贈を決めました。

 実は、岩橋さんが札幌市消防局に高規格救急車を寄贈するのはこれが2度目です。

 「救急車を贈ろうと思う」。

1度目に寄贈した2019年、美代子さんに伝えるととても喜んでくれたとうれしそうに話す岩橋さん。

この時は3台を寄贈し、金額は今回と同じく1台につき3000万円。

金額と台数は最後まで美代子さんには言えませんでした。

 当時、救急車の寄贈が地元紙で紹介されると、見知らぬ女性から「ありがとうございます」と声を掛けられたことも。

思わぬ反響に驚きつつもうれしさを実感しました。

 今回は北広島市にも高規格救急車2台を寄贈。

納車は1台が今秋、もう1台は2022年の予定です。

 岩橋さんがこれまでに贈った救急車7台の総額は約2億1400万円にのぼりますが、いま贈りたい理由があると言います。

 「新型コロナの影響で救急車の消毒にすごく時間がかかると聞く。みなさんに喜んでもらえたらうれしい」