Itmedia.2021年06月21日 07時00分 公開 気候変動が顕著になってきた昨今、クルマは厳しさを強めた排ガス規制に対応(開発エンジニアに言わせると、今や「厳しい」なんて程度のレベルではないのだが)するために電動化が急がれている。

特に信号が多い日本の都市部においては、ゴーストップを繰り返すのはエンジン負荷が大きく、燃費を悪化させる。

回生充電が使えるハイブリッド(といっても運動エネルギーすべて電気に換え、バッテリーに全量充電できているわけではないが)ならまだ影響は少ないが、純エンジン車車であれば致命的なほど燃費を低下させる。

そんな発進加速の負荷は減らせないが、停止中の無駄は減らせるとばかりに導入された機構がアイドリングストップだった。

これは、車種や条件によって異なるものの、15秒以上の停車時間がある場合はエンジンを停止させて発進時に再始動した方が燃料の消費量は抑えられることを狙った仕組みだ。

停車時は自動でエンジンが停止し、ブレーキペダルへの踏力が弱まったことを検知すると発進に備えてエンジンを始動させるというもので、Dレンジのままエンジン始動を可能にさせるなど、変速機との協調制御も利用することで実現している。

その頃自動車関連団体などが行っていたアイドリングストップ運動というムーブメントも後押ししたのだと思う。

それは大きな交差点の信号待ちなど比較的停車時間が長い場合、エンジンを停止させましょう、というものだった。

さらに20年前からは駐車中のアイドリングを禁止する条例が首都圏などで発令された(海外と比べると遅過ぎるくらいだ)こともあり、アイドリングストップ機能を採用した乗用車が増えていった。

交差点などで完全停車してからエンジンを停止するようにしていたものから、車速の下降とブレーキペダルの操作などから判断して停車前からエンジンを停止するように制御を改善させ、何としても15秒以上のアイドリングストップを確保するように進化させているメーカーもある。

しかし近年、アイドリングストップ機構を備えないクルマが登場し、それが増えているのである。

燃費向上策のキーデバイスに何が起こっているのか。

アイドリングストップはシビアコンディションを招く アイドリングという言葉は「サボっている」という意味も含む。

ところが、エンジンにとっては実は厳しい環境であることは、意外と知られていない。

アイドリング中も実際にはエアコンのコンプレッサーや発電機を駆動したり、エンジンや変速機に内蔵されたオイルポンプで油圧を作り各制御を機能させたり、ブレーキのサーボ(最近はモーター駆動も多いが)に吸気系で発生する負圧を利用させたりして、停車状態の保持に役立っている。

これらの機能はアイドリングを停止することで、当然失われることになる。

だからCVTなど、減速比の固定やベルトにより駆動力を伝えるために油圧が欠かせない変速機は、油圧をキープする工夫が盛り込まれている。

しかし実はそんなことより、アイドリングストップによるメリットがわずかな燃費向上であるのに対し、デメリットが小さくないことの方が問題だ。

アイドリングストップは実は「エンジン始動回数が増える」ということも意味する。

これは実はエンジンにとってはうれしくない状況だ。

まずエンジンを始動させる際には大きな電流が必要だ。

それは停止していたエンジンを一定数の回転まで上昇させ、燃料を噴射して点火するためだ。

アイドリングストップ機構により始動回数が増えることから、セルモーターが強化されるだけでなく、完全に停車していない状態からも再始動が行なえるよう、セルスターターのギア機構が改善されスターターリングギアと常時かみ合う構造とされるなど、対策が施されている。

またバッテリーからたびたび大電流が供給されるとなると、バッテリー電圧が低下すると始動不能に陥ってしまう。

そのためアイドリングストップ搭載車の発電機は発電容量が増やされているだけでなく、バッテリーの蓄電状態に応じて発電量を制御する仕組みも盛り込まれた。

そのためバッテリーも、短時間での大電流の出し入れに対応した高性能な専用品が充てがわれている。

このようにバッテリーやセルモーターの負担は小さくないが、実はエンジン本体の負担も見逃せないのである。

エンジン内部のムービングパーツは停止している状態から動く時、また急に動くスピードを変化させた時に最もストレスがかかる。

それは部品同士の摩擦や部品内部に発生する応力の繰り返しとなって、ジワジワとダメージを蓄積させる。

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