中国共産党は5月末の政治局会議で、1組の夫婦に3人目の出産を認める方針を打ち出した。

2020年の出生数が1949年の新中国建国後、最大の落ち込みとなるなど少子高齢化が急速に進んでいるためだが、ロイター通信は「家庭の負担が増える教育コストなど子育て費用がネック」との見方を示した。

ロイター通信は「中国の都市部では育児のための費用が上昇しており、夫婦の多くが子どもを持つことをちゅうちょしている」と報道。

「16年には中国政府が長く続いた『1人っ子政策』を撤廃したが、それにもかかわらず、出生率は女性1人当たりわずか1.3人に低下した」と指摘し、まず「出産費用」を取り上げた。

中国の公立病院で出産する場合は、妊娠期の検査や分娩(ぶんべん)時を含め、費用は国の保険でカバーされるのが普通だが、民間のクリニックを頼りにする女性も増えている。

こちらでは10万元(約172万円)以上の料金を請求される。

裕福な家庭では出産後1カ月間、母親と新生児の世話をするために「月嫂」と呼ばれる専門のベビーシッターを雇うのが通例で、その費用が約1万5000元かかる。

中国では所得水準の向上に伴い、産後間もない母親が専門的な診療やサービスを提供する分娩後診療センターに集まるようになっているが、これも費用は高い。

北京市内の王府井地区にある施設の場合、月15万~35万元だ。

オーストラリアとニュージーランドから輸入される粉ミルクを与える時期が過ぎ、幼児教育施設に送り出すようになると、裕福な親たちは北京市内の海淀地区など名門校のある地域でマンションを探す。

この辺りの住宅コストは1平方メートル当たり平均9万元以上で、米ニューヨーク・マンハッタンの価格の中央値に匹敵する。

「戸口」と呼ばれる居住許可がなく公立学校への入学資格が得られない子どもは私立学校に入学するが、年間4万~25万元の学費がかかる。

競争が厳しい中国社会で子育て世代の間では「?娃」(「鶏の子」の意)という言葉がよく使われる。

親が自分の子を幾つもの習い事に通わせ、精力を増すという「鶏の血」を子どもに注ぎ込んでいる、という趣旨だ。

上海社会科学院による19年の調査報告書では、上海の高級地区である静安区で生活する平均的な家庭では、誕生から中学校卒業(通常15歳)までに、子ども1人当たり約84万元を支出している。

うち教育費だけでも51万元に上る。

この報告書によれば、静安区や閔行区の低所得世帯(年収5万元以下)の場合、収入の70%以上を子どもに費やしているという。

(編集/日向)