タイで今年1月に大麻草の一種であるヘンプ(※)の栽培・加工・販売が解禁された。

国際的な市場が拡大する中、タイ政府は新たな換金作物として成長させたい意向だ。

「ヘンプ・ビジネス」に参入する企業も相次いでいるが、過剰な参入増が産業としての成長を阻害するとの指摘もある。

※テトラヒドロカンナビノール(THC)の含有率が一定以下のアサ科植物 タイには古くからの大麻栽培の歴史がある。

北西部ターク県の少数民族モン族は、丈夫で柔らかい特徴を持つ麻の茎などを使ってバッグや衣料などを作り、葉や根は伝統的な治療薬として利用してきた。

日本では大麻取締法によって栽培などは規制されている。

タイでも麻薬法に基づき、ヘンプを含む大麻草は栽培・加工・販売などを禁止する「第5種麻薬」として指定されたが、2005年ごろから農家の生活向上のためとして 再合法化を求めるロビー活動が続けられてきた。

保健省食品医薬品委員会(FDA)は今年初め、ヘンプの葉、茎、幹、根を第5種麻薬の指定から除外し、商業利用を解禁する計画を明らかにした。

FDAへの申請を条件に、栽培・加工・販売を認めるものだ。

ヘンプから抽出される薬理成分は、大きく分けてTHCとカンナビジオール(CBD)の2つ。

THCは高揚感や感覚を鋭敏にする作用があり、精神的疾患をはじめ肺がんの進行抑制や線維筋痛症のとう痛の緩和などの効果が確認されている。

CBDはけいれんや不安神経症、統合失調症、炎症などの緩和と、がん細胞の成長の抑制に効果があるとされる。

なお、CBD成分を多く含む種子や花は指定から除外せず、個人による大麻栽培は引き続き禁じられている。

ヘンプの成分は医療用の他、食品や美容素材としても世界的に注目を集めている。

政府はヘンプ産業に高い期待を示し、ヘンプを新たな換金作物にすることを目指して政府内に小委員会を設立した。

同会のパンシリ委員長は 「タイの気候風土はヘンプ栽培に適している。タイの農産物は世界的に高い評価を受けており、タイ産のヘンプは国際的な需要を取り込むことができる」と議会で強調した。

アヌティン副首相兼保健相は、世界的な需要増から国際市場は年間5,000億バーツ(約1兆7,400億円)に達する可能性があり、 そのうち医薬品と食品向けが70%を占めると指摘。

タイ国内市場だけでも、向こう3年以内に6億6,100万米ドル(約720億円)に達するとみている。

■食品やスキンケア用品、医療以外の業種も続々 政府が1月29日にヘンプの商業利用の登録受付を始めると、大手財閥チャロン・ポカパン(CP)グループ傘下の食品最大手チャロン・ポカパン・フーズ(CPF、CPフーズ)をはじめ、 食品や医薬などさまざまな業種の企業が参入を表明した。

3月には医薬品やサプリメント(栄養補助食品)、スナック、シリアル、飲料、美容製品などへのヘンプ抽出成分の使用を解禁。

これを受け、ダイエット用サプリメントや化粧品の製造・販売を手掛けるDODバイオテック、食品事業や米ファストフードチェーン「A&W」の フランチャイズ(FC)を手掛けるグローバル・コンシューマーなどが商業加工および生産企業の認可を受けた。

スープリーム・ファーマテックは、ヘンプから抽出したシードオイルの栄養価を最大化する技術に関連した特許を取得。

アボカドやニンジン、スグリなど他の食用油とブレンドしたり、魚由来の油やクリルオイル(南極オキアミから抽出精製した健康食用油)と混合して販売する方針だ。

同社のミリント最高経営責任者(CEO)は「政府の承認を待って生産開始する」と説明。

ビタミンやアミノ酸を含む固形製品、ハーブや果物の抽出物を含む製品にもヘンプオイルを使うという。

一方、CP傘下のCPフーズは3月、国内有数の農業大学である北部チェンマイのメージョー大学(MJU)と協力して、ヘンプ栽培の研究に着手すると発表。

CPフーズは、ヘンプ成分を加えた調理済み食品を年内に発売する方針も明らかにしている。

タイのノリ菓子大手タオケーノイ・フード・アンド・マーケティングと携帯端末販売会社TWZも4月29日、ヘンプ関連商品の開発・製造・販売に関する覚書を交わしたと発表した。

食品以外の参入も相次ぐ。

ドラマなどのコンテンツ供給を手掛けるタイのJKNグローバル・メディアの子会社とDODバイオテックは3月、 ヘンプの成分を配合したダイエット用サプリメントとスキンケア商品の事業で協力する覚書を締結。

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