ソウル中央地裁が先日、強制動員の被害者の起こした損害賠償請求訴訟で却下の決定を下したことに関して、日本の裁判所よりも劣る判決だとの指摘が出ている。

日本の裁判所でさえ「強制労働被害者の苦痛は大きかった」と述べ、戦犯企業に対して「救済努力を期待する」と判決に明記した事例があるからだ。

日本の最高裁判所は2007年4月、太平洋戦争の期間中に中国から強制動員された労働者と遺族が戦犯企業の西松建設を相手取って起こした損害賠償請求訴訟で、企業側勝訴の判決を言い渡した。

日本の最高裁は、個人請求権という実質的権利はあるものの、1972年の日中共同声明第5項(日本国に対する戦争賠償の請求を放棄することを宣言する)により、被害者は裁判に訴えることができないと判断した。

これは、今月7日にソウル中央地裁が強制動員の被害者と遺族85人が日本企業16社を相手取って起こした訴訟を却下した際に示した根拠と似た論理だ。

ソウル中央地裁は、1965年の韓日請求権協定などを根拠として「訴訟で権利を行使することは制限される」と述べている。

しかし、日本の最高裁とソウル中央地裁の判決には大きな違いがある。

日本の最高裁は被害者敗訴の判決を下したものの、別の方法でこの問題を解決することを提言として判決に盛り込んでいるのだ。

同地裁は判決の最後で、「被害者らの被った精神的・肉体的な苦痛が極めて大きかった一方、上告人(西松建設)は前述したような勤務条件で中国人労働者らを強制労働に従事させて相応の利益を受け、更に前記の補償金を取得しているなどの諸般の事情にかんがみると、上告人を含む関係者において、本件被害者らの被害の救済に向けた努力をすることが期待される」と述べている。

日本の最高裁の判決は、被害者が裁判を受ける権利を否定してしまったものの、被害者救済のために最小限の道を提示しているのだ。

被害者と弁護人は、最高裁の「救済努力」という文言を根拠として西松建設に迫り、2年後の2009年10月に和解を成立させた。

西松建設は、1944年に360人の中国人労働者が広島にある安野発電所の工事現場に強制動員され、苦痛を強いられた事実を認め、謝罪した。

後の世代の教育のために記念碑を建設し、2億5000万円(約25億5000万ウォン)を被害者に支給した。

1998年に始まった訴訟は、裁判そのものは被害者が敗訴したものの、11年を経て和解で終結した。

西松建設は、今回の韓国の強制動員被害者の訴訟対象となった16の企業のうちのひとつだ。

一方でソウル中央地裁の判決は、国家的利益を掲げて被害者の権利を全面的に否定してしまっている。

民主社会のための弁護士会(民弁)などの15の市民団体は先日、声明を発表し、「大韓民国の司法史上、民事訴訟で被害者の主張のことを『国家安全保障と秩序維持という憲法の原則を侵害しているため、権利乱用』と判断した例そのものが存在するのか疑問だ」と批判した。

専門家たちは、最近の国際法の流れは国家ではなく個人の権利、被害をどのように賠償していくかという方向へと大きく転換しつつあると指摘する。

このような点に照らすと、ソウル中央地裁の却下決定は時代遅れの判決との批判は避けられないものとみられる。

2021-06-11 08:11