2021.06.04 ヤンキー教師が主人公の『GTO』は、ヤンキーマンガの金字塔ともいえる大ヒット作です。

主人公の鬼塚英吉が元暴走族ということもあって、いろんな車が作品中に登場します。

なかでも教頭の内山田ひろしの愛車「クレスタ」が壊されてしまう場面は傑作的名場面となりましたが、その理由は愛車が「クレスタ」だったからかもしれません。

教頭・内山田は「クレスタ」を選ぶのに苦慮したはず  今なぜ『GTO』なのか? と申しますと、このコロナ禍で動画配信を視聴する時間が増え、ふとしたタイミングでドラマ版「GTO」を見始めたから。

もう止まりません! いま見ても面白い、いや、いま見るから面白い……?  ヤンキー教師・鬼塚が活躍する、藤沢とおる先生によるマンガ『GTO』では、鬼塚の上司にあたる内山田の愛車が鬼塚に破壊されるシーンが同作屈指の名場面として記憶されています。

ドラマ版では「ベンツ」が壊されていますが、原作ではトヨタ「クレスタ」。

どちらも高級セダンではありますが、内山田の悲哀に対する共感度は圧倒的に「クレスタ」に軍配が上がってしまうのです。

「クレスタ」という車名の響きに胸がキュンとなった方は、かなりのクルマ通と思われます。

当時、トヨタのドル箱となっていた「マークII3兄弟(マークII、チェイサー、クレスタ)」のひとつで、「クレスタ」は内山田にとって絶妙なポジショニングだったはずです。

 内山田の妻・良子は、夫を邪険に扱う鬼嫁的な設定。

ひとり娘の好子も父には冷たく接している。

そんな家庭内で妻と娘が納得する車を購入するのがどれだけ大変なことか。

ましてや、見栄も張れて、妬まれない車となると……内山田は大いに悩んだはずです。

 クラウンを買うと上司から生意気だとにらまれそうだし、マークIIだと、若者からオジサン臭いと疎まれそう。

本当はスポーツクーペに乗りたいが、家族がいるので4ドアしか許されない。

冠婚葬祭、どんな場面にも合うのはやはり無難なセダンだが、運転も楽しみたいし、時には高速を飛ばしてみたい……そんな願望を叶えてくれるのが、マークIIより後席が広いとされ、直列6気筒も選べるFRセダン、「クレスタ」という車だったのではないでしょうか。

 ところが、その愛車「クレスタ」が、マンガのなかとはいえ、何度もスクラップ同然となり、その度に内山田は衝撃を受けるのです。

最もインパクトが強かったのが、「愛しのクレスタ」というサブタイトルがついた回でした。

 いじめられていた生徒が校舎の屋上から飛び降り、助けようとした鬼塚が一緒に落下。

その真下の駐車場に停めてあった内山田の「クレスタ」の屋根がクッションとなり九死に一生を得るのですが……愛車の惨劇を見た内山田は大絶叫! まさに「OMG」な状態に。

腹が千切れるほど笑える場面ですが、同時に悲哀も伝わってくるのです。

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