全国労働組合総連合(全労連)が5月末、「生活に必要な経費をまかなえる最低賃金は「全国一律で時給1500円が必要」 と訴えた。

これは今に始まった要望ではないが、はてな匿名ダイアリーに6月1日、 「最低時給は撤廃すべき。という経営側の意見を聞いたことがあるか」という投稿があり注目を集めた。

40人ほどの会社を経営しているという投稿者は、「ポジショントークをするつもりはない」と断りつつ、 「最低賃金が上がれば自分の給与があがる。と勘違いしてるかたがたくさんいるようですから」 として、最低賃金が上がった場合の、労働者にデメリットが多い雇用情勢について持論を展開。

これが物議を醸し、「低能経営者のそんな寝言は百回聞いたわ」と噛み付く反論エントリーも話題となった。

最低賃金が上がると「生産性の高い人材の給与は下がる」と主張 現在の最低賃金は全国平均で時給902円。

政府は時給1000円を早期に達成するという目標を示しているが、 前述の経営者はこの動きに冷水を浴びせるように、最低賃金上昇時の企業行動を予測している。

「時給1500円以下の仕事しかできない人は雇わなくなる。最低賃金以下の生産性の人を雇ったら赤字ですから当然ですね」 「既に働いている生産性の高い人材の給与は下がる。既に雇っている1500円以下の人の給与上げなきゃいけませんから、当然ですね」 など、要約すると「仕事ができる人の給料は減らされ、能力がなくても得をする人が一定数出てくるが、失業者は増える」 という暗い未来予測だ。

この結果、社会保障費の増加や「低スキル人材、新卒、未経験者、中卒、高卒等が失業する」 と断言し、「これは、想像できますよね」と同意を求めた。

次に「最低時給の撤廃」したときのメリットとして、「就業機会が増加する」「既に働いている生産性の高い人材の給与は上がる」 などと説明。

ようするに、経営者が安く人を使えるようになれば、労働者も仕事が増えて問題なし、という主張だ。

この投稿にはブックマークが850つき、大きな反響があった。

経営者に都合のいい持論に反感を抱く人は多く、 「最低賃金って要するに『最低賃金未満で雇用しないと成立しない事業は潰れるべき』ということです」 「”既に働いている生産性の高い人材の給与は上がる”はウソ。可能ならあげたくないだろ」などの批判が相次いだ。

「最低賃金ずーっと止めてる間に日本社会は一人負け」 翌2日には「低能経営者のそんな寝言は百回聞いたわ」というタイトルで反論が入っている。

この経営者が、いかに自分に都合のいい「想像」だけで自説を展開しているかを厳しく指摘。

これには、800近くブックマークがつき共感を呼んでいた。

投稿者曰く、歴史的にみても奴隷制度や児童労働の廃止、女性の賃上げをしたくない経営者たちが 過去にこうした主張を繰り返してきた。

何ら珍しくもないことを得意気に語るところからして、低能なのが分かるという。

人件費の上昇分を働く人におしつける経営者としての甘さなどを糾弾した上で、 「最低賃金上昇で失業率が上昇するというデータはないんだよね」と論拠の弱さを指摘。

「最低賃金ずーっと止めてる間に日本社会は一人負けして生産性では韓国にも負ける国になったんです」 などと説いていた。

確かに、OECDのデータによれば1997から2018年の21年間で、賃金変動率がマイナスになったのは、 主要国中で日本だけ。

日本の低迷は、目先の経費削減を重視した前述のような経営者が、人件費を安く 抑え続けてきたことと無関係ではないだろう。

労働問題に詳しい弁護士の明石順平氏は、自著『人間使い捨て国家』(角川新書)の中で、最低賃金を 適切なペースで引き上げてきたイギリスの例を紹介している。

最低賃金を上げても2018年6月の失業率は4%と、 むしろ過去47年の平均7.04%を下回り、企業の廃業が増えるなどの悪影響も確認されていないという。

こうしてみると、やはり冒頭の経営者がいかに虫の良い持論を展開していたかがよくわかる。

最低賃金を上げる動きに一部の経営者の甘えを持ち込んで阻もうとするのは、いい加減やめてほしいものだ。