1年前のダイヤモンド・プリンセス(DP)号の集団感染の現場を仕切った2人は、今も新型コロナ感染症対策の最前線に立っている。

神奈川県の阿南英明・医療危機対策統括官(55)はその肩書きどおり、県のコロナ対策全般を統括。

厚生労働省DMAT(災害派遣医療チーム)事務局の近藤久禎次長(50)は頻発するクラスター(感染者集団)の収束のため全国行脚を続けている。

『世界を敵に回しても、命のために闘う ダイヤモンド・プリンセス号の真実』を上梓した毎日新聞の瀧野隆浩氏が聞き手となって行われた対談の最終回は、彼らがDP号後の現場で何を考えたのか、そして今後何が必要なのかを語ります。

第1回:「横浜クルーズ船感染」現場医師が今明かす真相 第2回:感染制御しても批判「横浜クルーズ船」の理不尽 ■重症化しなかった患者を引き受ける病院がない  ――昨年末、2人とも多忙だったようですね。

阿南先生は年末の第3波の際は、「神奈川モデル」という先進的な医療体制について取材を受けテレビに出ずっぱりでしたし、近藤先生はメールをしても返事がないし……。

 近藤:DPのあと、昨年4月以降は沖縄から北海道までクラスター(感染者集団)に認定された病院や施設を切れ目なく回っていましたから。

その間に、熊本県の豪雨災害があったりして……。

 阿南:DPの教訓から「神奈川モデル」はできたんですが、新型コロナという災害時の仕組みを平時の仕組みに戻していく必要がありました。

単に元に戻すというよりも、よりよい地域の医療体制をつくりたいと。

そんなことにかかりきりでした。

 ――具体的にはどんなことを進めてきたのでしょう。

 阿南:コロナ医療の何が問題かといえば、陽性判定を受けて急性期病院に運ばれた患者が重症化しなかった場合、引き受ける病院がないからそのまま滞留すること。

 コロナ患者を診るのは一定のスキルや施設が必要なので急性期病院なのでしょう。

だけど、10日たてば感染者ではなくなるのだから、もっと一般病院でも受け入れてほしいと。

徹底的に病院の人たちと話をしました。

 そこで「感染が急拡大したら急性期病院は満床になり、みなさんの病院からコロナ患者が出ても引き受けられなくなりますよ」と訴えたら、「それは困る」と。

「だったら、10日すぎた人を受け取ってください」と言ったら、「それならできる」と(笑)。

4/21(水) 12:01