小池百合子都知事は4日の定例記者会見で、大規模テロや感染症の流行など国家の非常時に私権を制限できる「緊急事態条項」を書き加える憲法改正について、「立法府としてどうしていくのか、しっかりと議論を頂きたい」と述べ、改憲をめぐる議論を加速させるべきだとの認識を示した。

新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、政府は改正特別措置法を制定し、休業や営業時間短縮の命令に応じない事業者、入院を拒否した患者らへの罰則を導入した。

都はこれに基づき、飲食店や百貨店に対し、限定的な私権制限にあたる休業や時短営業の要請を繰り返し実施している。

小池氏は「現行の法体系の下、国と自治体が連携し、法治国家としてできること、都としてなすべきことを考えながら対応してきた」と述べた。

その上で、現憲法下でも「リバウンド(感染再拡大)を防ぐため、あらゆる方策に全力を尽くしたい」と語った。

◇ 非常時に私権を制限できる「緊急事態条項」を導入する憲法改正案について、小池百合子知事が議論の必要性に言及した。

現場を抱える自治体のトップとして新型コロナ対策のかじ取りをしてきた小池氏には、これまでの発言からも、憲法に規定がないあいまいな状態のまま休業要請などに踏み切らざるを得ないことへの危機感は強い。

一方、都幹部の発言からは同じ危機感が伝わらず、小池氏と温度差を感じさせている。

「私権制限には毛頭、当たらない」 緊急事態宣言中の5月14日、都の黒沼靖総務局長は百貨店への休業要請を説明する記者会見で、要請が憲法が保障する「営業の自由」を制限することについて記者から質問が飛ぶと、強い口調でこう否定した。

当時、都の要請に基づき百貨店は生活必需品売り場だけを開けていたが、その線引きをめぐって認識が異なり、都は重ねて休業を要請するという内容だった。

都議の一人は「要請が私権制限に当たることは論をまたないのに、本当に考えたことがないのではないか」と都幹部らの姿勢を批判。

「知事の命令なんだから聞いて当たり前だと、彼らは本気でそう思っているのでは」と疑問を呈す。

都は緊急事態宣言が出るたびに、特措法に基づき飲食店や百貨店に休業などを求めてきた。

だが、これによってどの程度の感染防止効果が得られたのかは、いまだ示されていない。

一方、産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)が5月15、16両日に実施した合同世論調査では、憲法への緊急事態条項の新設に68・2%が「賛成」と回答し、「反対」は23・2%にとどまった。

しかし、行政の現場で「休業要請は私権制限には当たらない」といった見方がまかり通れば、緊急事態条項の創設に向けた建設的な議論の妨げにさえなりかねない。

6/4(金) 21:42