略 「開催の切り札」  池江と聖火といえば、昨年7月23日に五輪組織委員会が開催した「記念イベント」を思い出す方もいるかもしれない。

新国立競技場で聖火がともされたランタンを掲げた池江が、 〈1年後の今日、この場所で、希望の炎が輝いていてほしいと思います〉  毅然とそう述べるシーンは多くの人を感動させたが、その一方、 「病から復帰したばかりの池江を“大人の事情”で酷使するのは控えたほうがいいのではないか」  との声もあった。

 当時、池江は東京五輪の4年後のパリ五輪に照準を合わせて練習を再開していた。

そんな彼女が東京五輪に“間に合う”という奇跡を起こせた背景に、凄まじいほどの努力の積み重ねがあったことは間違いない。

 その池江の活躍にすがろうとしているのが組織委だ。

「コロナの影響もあり、世論調査を行うと国民の6割~7割が東京五輪の開催を望んでいないという結果が出ますが、組織委としては池江さんの復活劇を機に空気が変わるのではないかと考えている。組織委が池江さんを、開催機運が全く盛り上がらない東京五輪の救世主にしようとしているのは間違いありません」(スポーツ紙デスク)  東京五輪の開催に社運がかかっている大手広告代理店「電通」も同様で、 「電通の幹部に聞くと、池江さんが代表に選ばれたことで“ホッとした”と言っていましたね。電通は今後、マスコミともタッグを組み、“池江の池江による池江のためのオリンピック”に仕立てていくのではないでしょうか」(スポーツ業界関係者)  池江が起こした奇跡のウラで多くの「大人」が蠢き、算盤勘定をしているわけだ。

『街場の五輪論』の共著があるコラムニストの小田嶋隆氏が言う。

「池江さんはオリンピック開催の切り札にされてしまっているように見えます。もちろんご本人にそんなつもりはなく、結果を出すために頑張っているだけなのでしょうが、このように偉業を成し遂げた人を自分たちの都合のいいように利用しようとする大人はいつの時代にもいるものです」  小田嶋氏によると最近、東京五輪についてネガティブなことをツイートすると、 「“池江さんの前でも同じことを言えるのか”という困ったコメントが来るようになりました。池江さんが東京五輪開催反対派への口封じに使われてしまっているわけです。本来、池江さんの頑張りと五輪開催の可否は分けて論じられるべきですが、それが一体になってしまっている風潮には違和感があります」  スポーツ評論家の玉木正之氏も言う。

「東京五輪を絶対に開催できる方向にもっていきたい日本の政府や組織委の人たちにとって池江さんは重要なコンテンツになっている。しかし、周囲の大人たちが、一人の出場選手に過ぎない彼女におんぶに抱っこで頼りきっているなんて、情けないことこの上ない」 “僕の水の天使”  組織委や電通以上に池江を利用している「大人」もいる。

「気を送る」などと称して池江にオカルト療法を施しているとみられると本誌(「週刊新潮」)が写真付きで報じた、吉本興業所属の“怪芸人”、なべおさみ(81)である。

「池江さんの復活を受け、なべは“璃花子は僕の治療を受けたから回復した”と触れ回っています。池江さんのことは“僕の水の天使”と呼んでいて、“僕がずっとパワーを送っている”とも話しています」  そう語る吉本興業関係者によると現在、なべには芸能関係の仕事がほとんどない。

その代わり、 「気功の仕事は増えているようです。池江さんが活躍すればするほど、なべの元に治療してほしいという話が舞い込む。東京五輪出場が決まったことでより気功の仕事が増えると見込んでいるようで、今やなべは“僕は神だから”とまで豪語しています」(同)  また、なべは、 「璃花子はいい判断をした。小林麻央ちゃんは僕のところに来るのが遅かったから間に合わなかった」  とも周囲に話しているといい、その発言には確かに「神の視線」が感じられる。

池江の活躍によってこうした妄言を信じてしまう人が増えているとしたら悩ましいことである。

実際、 「最近、なべは“璃花子が復活したおかげで、吉本興業の大崎洋会長が僕を信用してくれるようになった。どの芸人を切りなさい、といった僕の助言をよく聞いてくれる”と吹聴するようになったといいます」(芸能界事情通) 略