明石順平さんの書籍 『財政爆発 アベノミクスバブルの破局』 では、 好景気とうたわれたアベノミクスの実態、そしてコロナ以後の状況を150以上のグラフを用いて検証しています。

なぜ日本は、コロナ禍にあっても積極的に財政出動できないのでしょうか。

その理由もわかります。

著者の明石さんが新刊に込めた思いをお伝えします。

■「現実を見なければまた同じ過ちを繰り返す」『財政爆発 アベノミクスバブルの破局』 書評  この本は、今まで私が書いてきた「アベノミクスによろしく」「データが語る日本財政の未来」「国家の統計破壊」「ツーカとゼーキン」(いずれも集英社インターナショナル) 「人間使い捨て国家」(KADOKAWA)「キリギリスの年金」(朝日新聞出版)から、アベノミクスに関連する部分を抜粋し、 改めて振り返りをした上で、新型コロナウイルス感染症の影響に関する考察を加えた、集大成のような本です。

 「アベノミクス」は、安倍元総理ですら、途中から全く口に出さなくなったほどですので、もはや過去のものとして忘れ去られているのではないかと思います。

 しかし、「アベノミクス」は、まだ継続しています。

この経済政策は、「3本の矢」からなると説明されますが、実質的には1本目の矢である「異次元の金融緩和」しかしていません。

そして、この「異次元の金融緩和」は、今も継続しています。

そう遠くない未来、恐ろしい副作用が爆発し、日本をどん底に叩き落とすでしょう。

その時、この経済政策を推進・擁護してきた人達は、詭弁を弄して責任逃れをするでしょう。

今は世界的にコロナウイルスが蔓延していますから、 「全部コロナのせい」にして逃げようとするかもしれません。

「異次元の金融緩和」が何なのかを理解していなければ、そういった責任逃れをさせてしまうことにつながります。

 コロナ禍において、財政支出が他国に比べて不十分であるとの批判を聞きます。

なぜ他国のように思い切った財政支出ができないのか、この本を読めば分かるでしょう。

 簡単に言えば、日本の財政状況は、コロナ禍が起きる前から、既にどうしようもない状態でした。

地方公共団体の債務等も含めた政府総債務残高対GDP比において、日本は圧倒的な世界1位です。

この図はIMFが「先進国」にカテゴライズしている国々との、政府総債務残高の推移を比較したものですが、現在の数字も飛びぬけていますし、増え方も異常です。

この状況は、例えていうなら、もう手術をしても治らないので、特大の麻酔を打って痛みをごまかしていたようなものです。

その特大の麻酔に当たるのが「アベノミクス」でした。

これで何とか借金をごまかし、市場の信用を繋ぎとめてきましたが、 そこへコロナが襲い掛かったため、さらに窮地に追い込まれました。

借換債を含む国債の総発行額は、2020年度に250兆円を超えました。

今までの最高額が2012年度(東日本大震災の影響で増加)の177兆円でしたが、それを大きく上回りました。

2021年度はこれをさらに上回る可能性があります。

もう、いつ市場の信頼を失ってもおかしくありません。

その時起きるのは、円の大暴落です。

 さて、こういう現実を指摘すると、右派左派問わず、与党支持野党支持を問わず、全方位からバッシングをされます。

また、現状を肯定するための様々な言説(「借金は自国通貨建て国債だから大丈夫」「日本は資産があるから大丈夫」「日本は経常黒字だから大丈夫」等々)が主張されます。

「安心」を得たいのでしょう。

この本では、そんな様々な言説をデータを用いて全否定しています。

 今まで私が出してきた本の全てに共通していること、それは「現実を見ろ」ということです。

そして、アベノミクスは、今まで日本が行ってきた現実逃避の果てに辿り着いた究極の現実逃避です。

私がなぜバッシングをされても「現実を見ろ」と言い続けるのか。

それは、現実を見なければまた同じ過ちを繰り返すからです。

だから、嫌われ者に徹してこの本を書きました。