5/22(土) 5:15配信 東スポWeb 五輪組織委員会の橋本会長にに五輪開催中止の要望書を提出した宇都宮健児氏  中止の声が高まる東京五輪に向けて国際オリンピック委員会(IOC)のジョン・コーツ調整委員長(71)が緊急事態宣言下での開催に「イエスだ」と発言し、大波紋を広げている。

コロナ禍に苦しむ国民の神経を逆なでする姿勢に、非難が殺到。

「反五輪」の動きが加速しそうな中、中止の署名活動を展開する弁護士の宇都宮健児氏(74)が21日に「中止要望書」を関係各所に提出した。

「中止が決まるまで続ける」と意気込むが、開催支持派からは「選挙対策パフォーマンスでは?」との指摘もある。

真意を本人に直撃すると――。

 コーツ氏は21日に行われた大会組織委員会との合同会議後の会見で「大会期間中に東京で緊急事態宣言が出されても開催するか」と問われると「その質問に対する答えはイエスだ」と断言。

「テスト大会が緊急事態宣言下で5競技行われた。アスリートの安心と安全、最悪の状況を想定し、成功している」と開催に自信を見せた。

 IOCトーマス・バッハ会長(67)の異名「ぼったくり男爵」ならぬ〝はったり男爵〟の発言に、日本の世論は猛反発。

ネット上では「安心安全ならば緊急事態宣言など出ない」「IOCは日本人の人命を軽視」「無責任にもほどがある」などと怒りのコメントが相次いだ。

ただでさえ国民の多数派を占める開催反対の声が、さらに強まることは間違いない。

 こうした状況で、かねて「五輪中止」を掲げる宇都宮氏はこの日の朝から精力的に動き回った。

内閣府で菅義偉首相(72)、丸川珠代五輪相(50)に宛てた中止要望書を提出すると、車で東京・晴海に移動。

組織委の橋本聖子会長(56)宛ての要望書を組織委の事務方に手渡し、すでに提出済みのIOC、国際パラリンピック委員会、東京都を含めた〝開催推進5者〟への中止勧告をコンプリートした。

 その後、宇都宮氏は集まった報道陣に「医療がひっ迫し、助かる命も助けられない事態。この状況で貴重な医療資源や財源を五輪に割くと、ますます命が助けられなくなる。五輪よりも命、暮らしを大切にしてもらいたい」と改めて中止を訴えた。

今後の展望について「署名は中止になるまでやる。2回目、3回目と要請行動しようと思っている」と歩みを止めるつもりはない。

 まさに徹底抗戦の姿勢だが、現場での〝衝突〟はなかった。

菅首相らへの要望書を手渡された内閣官房参事官補佐・渡部剛士氏は「受け取らせていただきます」と低姿勢。

非公開で行われた組織委内でも「こちらの主張に反論することもなく丁寧な対応だった」(宇都宮氏)。

提出を終えた同氏を直撃すると、こんな心情を口にした。

「組織委の現場は非常に大変だと思いますね。いまだに何人の観客を入れるかハッキリしていないし、どんどん予定が崩れていく。そういう猛烈な事務作業になっている。同情する面もあります」。

宇都宮氏の目には、組織委の現場は強行開催に突き進む現状の「被害者」と映っているようだ。

 現在までに集まった署名は約38万筆。

ドイツや米国など海外からの署名も約1割あるという。

宇都宮氏は開催反対派の構成について「感染拡大の中での開催に反対する人が多く賛同していますが、それ以外にも原理的五輪反対論者っているんですよ」と明かす。

コロナ禍に関係なく、もともと五輪に反対だった人々が世論に乗じて署名しているようだ。

 一方、連日のように中止を訴える行動に対して一部の開催支持派からは「明らかに選挙対策だ」「票集めのパフォーマンス」との声も飛ぶ。

その批判を本人にぶつけると「まあ、それはうがった声ですね。選挙対策と言っても、僕は昨年の都知事選に出たばかり。(次が)あるとしても先(3年後)ですよ」と話す。

その上で「署名というのは世論を具体化する活動。署名を契機に開催是非の議論がしやすくなったのではないか」と主張した。

 いずれにせよ〝はったり男爵〟の衝撃発言を受けて、署名活動への賛同者は今後も増えそうな雲行きだ。