4/25(日) 9:06 日刊ゲンダイDIGITAL NHK朝ドラ「おちょやん」が不人気 話題にもならないのはなぜか 主演の杉咲花(C)日刊ゲンダイ  NHK連続テレビ小説「おちょやん」は最終話まであと3週だが、「たった2ポイントちょっとなのに、こんなにも違うのか」と出演者もスタッフもため息をついているに違いない。

■前作「エール」とはえらい違い  4月12日の世帯視聴率13・2%は、松山英樹のマスターズ優勝の瞬間と重なり仕方がないとしても、100話までの平均17%台半ばは、前作「エール」の平均20・1%と比べてかなり見劣りする。

もっとも、NHKががっくりしているのは、数字よりも、良くも悪くもさっぱり話題にならないことだろう。

「週刊誌のテレビコラムで、ほめられも腐されもしないんです。ほとんど無視。民放ドラマで17%台なら大ヒットなのですが、朝ドラは2ポイントダウンしても、“見られていない”という印象になって、記事にもしてもらえない」(NHK関係者)  その日の朝ドラに触れる「おはよう日本」「あさイチ」の朝ドラ送り、朝ドラ受けは、「エール」ではいちいちスポーツ紙が電子版で速報していたが、「おちょやん」はほとんど取り上げられない。

話題にならないから見られない。

見られないから話題にならないというジレンマに陥ってしまったのだ。

「おちょやん」の不人気は、制作の大阪放送局の思い入れが空回りしてしまったことが大きい。

ドラマのモデルの浪花千栄子は「大阪のお母さん」と呼ばれ、話の舞台はいちばんの繁華街の道頓堀。

極貧の生い立ちは「おしん」と重なり、浪花が出演した大河ドラマ「太閤記」や「細うで繁盛記」(よみうりテレビ・日本テレビ系)は40%近い視聴率。

オロナイン軟膏のホーロー看板は、昭和のおなじみの風景だった。

これで受けないはずがないとNHK大阪は張り切り、巨大オープンセットも作ったが、致命的だったのは「浪花千栄子をリアルで知っている世代はほとんどいなかった」(放送作家)ことだ。

 浪花が活躍したのは1965年ごろまでだから、団塊の世代はまだ10代で、上方コテコテの喜劇や人情ドラマは興味なかったし、その下の世代はそもそも浪花を“テレビ視聴”したことがない。

時代が重なるのはせいぜい80歳から上の世代だが、見ていたのは映画だ。

ホイコーロー(回鍋肉)をほお張るCMで注目された杉咲花が浪花役では、いくら芝居が達者でも、スクリーンのイメージと違い過ぎた。

かくして、誰も感情移入できないドラマになってしまったのだ。

「ゴミゴミした路地裏や楽屋のシーンが多く、画ヅラが汚い、暗いというのも、朝向きではないですよね。当時のままのドタバタの笑いは古いし、今風イケメンも出てこないのでは、女性は見ません。リアリティーを追求して、丁寧に作れば作るほど見られないというのは皮肉です」(放送作家)  実際の浪花は、夫の女癖の悪さから離婚し、芸能界からも身を引いて行方をくらます。

京都で困窮しているのを捜し出したのはNHK大阪のプロデューサーで、ラジオ番組に出演させて「大阪のお母さん」といわれるようになった。

朝ドラでどうしても「おちょやん」をやりたかったのは、そんなところにも理由がありそう。

番組では25日の週からのお話。

(コラムニスト・海原かみな)