BLOGOS しらべる部2021年04月23日 10:00 ■「スポーツ嫌いの中学生を半減させる」。

3月末、スポーツ庁のWeb広報マガジンで「第2期スポーツ基本計画」を紹介した記事の文言がツイッター上で話題となった。

記事自体は2018年3月に掲載されたものだが、同年に改訂された新学習指導要領が2020年度から小学校で適用され、2021年度からは中学校でも全面施行されている。

スポーツ立国をめざす文部科学省が、2017年4月に発表した「第2期スポーツ基本計画」の中で、数値目標のひとつとして「スポーツが嫌いな生徒」を半分にすることを掲げた。

同記事では、学習指導要領の改訂などがその具体的施策になっていることなどを説明していた。

授業内容の改善によってスポーツ嫌いを減らそうとする文科省に対し、ツイッターでは、体育の授業を廃止すべきだという投稿が反響を呼んだ。

賛同する人々の投稿を見ると、体育教師の理不尽な叱責やクラスメイトからの嘲笑がトラウマになり、体育の授業自体をきっかけにスポーツが嫌いになったという声が多いようだった。

スポーツ嫌いを減らすために、体育教育がどのように変化しているのか取材した。

■体育の授業でスポーツ嫌いになる子ども スポーツ庁も認識 スポーツ庁政策課学校体育室の担当者は、体育教育を通じてスポーツ嫌い半減をめざす真意について、義務教育の間に“スポーツを楽しむ資質”を育てることで、生涯にわたって心身の健康増進につながる豊かなスポーツライフを実現することにあると説明する。

子どものうちに身体を動かすことを楽しむ感覚が身についていれば、大人になってからでも気軽に運動を習慣にすることができる。

最終的に子どものスポーツ嫌いを減らすことで、国民の健康寿命を伸ばすことに狙いがある。

一方で、体育の授業自体が原因でスポーツが嫌いになるというケースについても、「一定数いることは庁として認識している」と語る。

過去には試合や競争だけをやらせたり、みんなの前で実演させるような指導がおこなわれたりしている実態があった。

担当者は、「体育は実技を伴うため実力が如実に優劣につながる。しかもそれが周囲に知られてしまうことも重なり、苦手意識をもつ生徒が多かったのではないか」と分析する。

学習指導要領の改訂などを通じて、授業内容の改善にも取り組んでいるという。

■授業の変化に現場は「課題も」 学習指導要領の変更で、実際の授業はどのように変わっているのか。

横浜市立市場中学校の30代男性・保健体育教諭は、「生徒が自分で課題をみつけ、解決する力を重視するようになっている」とし、運動が苦手な生徒にとってもやりがいを感じられる内容になっていると語る。

従来のように、一律の目標ラインに対して「できる・できない」を分けるのではなく、それぞれが自分の目標を達成できたかどうかが問われるようになっている。

スポーツ庁の担当者も、「それぞれの成功体験を経験してほしい」と表現していた。

身体を動かす活動の内容自体は大きく変わらず、「学習カード」へのポイントの記入や、口頭での問答を通して理解を深める内容になっている。

一方、男性教諭によると、生徒が前に出て発表する機会は昔と比べれば減ってはいるが、実技テストやダンス・器械運動などでは一部は残っているという。

そのことについては、「お互いに見合うことにも意味がある」と簡単にはゼロにできない背景を指摘した。

また、今年度から新しくなる評価基準には課題もあると説明する。

これまで「関心・意欲・態度」「思考・判断・表現」「技能」「知識・理解」の4観点だったものが、新たに「知識・技能」「思考・判断・表現」「主体的に学習に取り組む態度」の3観点に整理し直された。

旧評価制度では単独で評価されていた「技能」が、今年度からは「知識・技能」として知識と一体となった評価を受けることになる。

男性教諭は、苦手な生徒でも取り組みやすくなる利点に理解を示しつつも、「技能の比重が軽くなった面があり、運動ができるだけではいい評価がより得にくくなる懸念がある。運動が好きな生徒が、体育の授業に意欲を失う可能性はある」と危惧する。

そのうえで、指導する側として、知識理解の要素への学習意欲をどう引き出せるかが課題だと語った。