日本学術会議は22日、前日に続き総会を開催し、菅義偉首相が任命拒否した会員候補6人の速やかな任命を求める総会声明と、組織改革の方針を取りまとめた報告書案を審議し、いずれも承認され正式決定した。

報告書では、国の機関である現行形態が最も望ましいと結論づけた。

今後は政府内で組織のあり方に関する検討が本格化する。

【任命拒否を巡る首相の発言と疑問点】  梶田隆章会長らは同日、井上信治・科学技術担当相と会談し、組織改革報告書と総会声明を提出した。

井上氏は会談後、記者団の取材に「学術会議と協力しながら未来志向で取り組んでいく」と強調した。

ただ、設置形態は「さまざまな形態を考えていただきたいというのは変わらない。国民に理解をいただく努力をしてほしい」と述べ、政府として結論を出す時期は明言しなかった。

声明は、菅首相に伝えると回答したという。

 昨年10月に菅首相が会員候補6人を任命拒否した問題を機に、政府は学術会議に対して設置形態の見直しなどを検討するよう求めてきた。

自民党プロジェクトチーム(PT)は昨年12月、政府から独立した法人格への移行を求める提言をまとめている。

 これに対し学術会議の組織改革報告書は、国を代表する学術団体「ナショナルアカデミー」には、公的資格の付与▽活動面での政府からの独立▽会員選考における自主性・独立性――など5要件が必須だと明記。

政府機関である現行の形態が「学術会議が役割を果たすのにふさわしく、変更する積極的理由を見いだすことは困難」と結論づけた。

 一方、執行部が総会に提案した段階では、個別法を制定して5要件を満たせば「特殊法人とする余地がある」としていたが、会員から「特殊法人は決して安定的とは言えない」「政府に落としどころと見なされる危険がある」などと懸念が続出。

執行部で再調整した結果、「特殊法人を考える余地がないわけではない」と修正し、より限定的な表現にとどめた。

 ただ、学術会議のあり方を検討する自民党PTは報告書案について「消極的だ」などと批判している。

同日の記者会見で菱田公一副会長は「学術会議の役割といった原点に戻って議論を重ねた。アカデミアとしての責務に立ち返った結論だ」と強調。

梶田会長は「引き続き学術会議の改革に取り組みつつ、重要課題の審議に積極的に取り組んでいく」と話した。

 今回の総会は、学術会議の今後のあり方を議論する重要な位置づけだった。

井上氏からは「今年4月」と報告期限も設けられ、時間的な制約もあった。

しかし、新型コロナウイルス感染症が猛威を振るう中で学術的な知見は欠かせず、学術会議に求められる役割も大きい。

そのため、ある会員は総会で「本来であれば新型コロナに関して何ができるかをさまざまな角度から議論すべきだった」と指摘。

梶田会長も会見で、「改革の議論と新型コロナの両面をしっかりやりきれないことに、忸怩(じくじ)たる思いを共有している」と話した。

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