新型コロナウイルスの感染拡大に伴い首都圏4都県に発令していた緊急事態宣言の効果に、専門家は異論を唱えていた。

公開された、宣言解除を了承した3月18日の政府の基本的対処方針等諮問委員会(現・基本的対処方針分科会)会合の議事録によると、専門家からは「ほぼ意味はない」などと宣言の限界を指摘する厳しい意見が目立った。

政府は「効果はあった」と反論したが、積極的な支持による解除了承ではなかったことが明らかになった。

「解除すればもっと悪くなる」  会合は18日午前7時半、内閣府で始まった。

冒頭、西村康稔経済再生担当相が、感染状況や医療提供体制が宣言解除の目安となる「ステージ3(感染急増)」になっていることや、再拡大防止に向けた取り組みを進めていることを理由に、宣言解除を諮問して議論がスタートした。

 議論の中心となったのは、宣言長期化に伴う効果の薄れだ。

全国の新規感染者数は宣言発令後の1月中旬以降、減少が続いたが、3月上旬以降は横ばいや微増がみられるようになった。

この日諮問委に配られた資料によると、4都県の直近1週間の人口10万人当たりの新規感染者数は7~14人とステージ3相当となる15人を下回ったものの、埼玉、東京では前週から増加に転じていた。

 宣言の有効性を巡って、まず口火を切ったのが、経済学者の竹森俊平・慶応大教授だった。

竹森氏は「ちまたでも、緊急事態を続けても感染は減らないのだという諦め感が強まっている」と世論のムードに言及。

「解除すればもっと(状況が)悪くなる可能性があって、その可能性がどの程度大きいかに気を付けなければならない」と感染再拡大への懸念を示した。

 オブザーバーの全国知事会会長の飯泉嘉門徳島県知事は「あまり長くやり過ぎると、慣れが起こってくる。やはり『ショットガン』のように効果的に(対策を)打っていくことが重要だ」と述べ、今後は宣言前後の段階に市区町村など地域を限定して適用する「まん延防止等重点措置」への切り替えなどで感染を抑え込む必要性を説いた。

 宣言に関して最も厳しい発言をしたのが、谷口清州・三重病院臨床研究部長だった。

「現状はほぼ緊急事態宣言の意味がないわけだ。今、日本中で効果があったから解除すると思っている人はいないと思う」とまで言い切った。

その上で「あたかも良くなったという印象を与えないようにコミュニケーションしてもらうことが必要だ」と、政府の発信のあり方に注文を付けた。

西村担当相「効果があった評価を」  宣言の効果を疑問視し、限界を指摘する専門家たちの声に対し、西村担当相は「宣言を発出して感染者が8割減った。

…(以下有料版で, 残り1001文字) 毎日新聞 2021/4/3 18:20(最終更新 4/3 18:20)