くだけすぎた“まん防” 内輪の略称、閣僚「使わない」宣言次々  政府が大阪市など3府県の計6市に初適用を決めた「まん延防止等重点措置」を巡り、政府高官らが国会や記者会見で、略称の「まん防(まんぼう)」を使用しない方針を表明する動きが相次いでいる。

 ◇政府の姿勢、疑われかねない  緊急事態宣言の発令・解除、まん延防止措置の発令を軸とした政府の新型コロナの感染拡大防止策には効果への懸念も少なくない。

略称はユーモラスな姿で人気がある魚のマンボウを連想させるなど、国民に事態の深刻さが伝わりにくい上、政府の姿勢も疑われかねないとの配慮があるようだ。

 西村康稔経済再生担当相は1日の参院議院運営委員会で「私自身は『まん防』という言い方は使わないようにしている」と述べた。

理由について「ちょっとふざけたような雰囲気もある。わかりやすいので専門家も使っているけれど、やはり『まん延防止』としっかり言うよう努めている」と説明した。

加藤勝信官房長官も2日、「私は記者会見では『まん延防止等措置』あるいは『まん延防止等重点措置』と申し上げている」と強調した。

 東京都の小池百合子知事も1日、記者に「まん防を出すべきタイミングは」と問われ、「まん防(の言葉)は東京都で扱ってない。『重点措置』でお願いする」と注文をつけた。

 ◇長い名称、「まんじゅう」案も  「まん防」はいつから使われ始めたのか。

感染対策を担当する新型コロナウイルス感染症対策推進室のある内閣官房や厚生労働省など政府内で略称が使われ始めたのは1月ごろ。

正式名称が長いため、担当者の間で「内輪」で使う略称を検討した結果、「まん防」となった。

検討当初では、「まん重(まんじゅう)」も浮上したという。

 担当者らが使う略称が注目されるようになったのは、政府の有識者会議「基本的対処方針分科会」の尾身茂会長らの記者会見での発言がきっかけだ。

 政府は3月18日、1都3県への緊急事態宣言の解除方針を決定。

首相官邸で菅義偉首相と尾身氏が行った記者会見はテレビ中継されたが、その中で尾身氏は「まん防」を連呼した。

 「首都圏で調査の結果、新たな感染源があれば飲食だけでなく対応を打つ、いわゆる『まん防』も対策の一部に入れる必要が出てくる可能性はある」  「(事態が大きく動いた時に遮断する)サーキットブレーカー、『まん防』をいつ適用するか、それだけでなく追加的な指標を加える必要があるのか、全体を再検討すべきだ」  尾身氏は日常的に担当省庁の担当者らも交えた議論や打ち合わせを行うケースが多い。

「まん防」の略称を多用したのも、そうしたことが背景にあるとみられる。

当時はインターネット上では「マンボウとは何だ」などの反応も出たものの、問題視する声は大きくなかった。

 ところが緊急事態宣言の解除後に感染が再拡大し、大阪、兵庫、宮城の3府県の計6市へ初めて適用されることが決まった。

それを受け、略称使用への風当たりも急激に強まったようだ。

尾身氏は4月2日の衆院厚生労働委員会で「『まん防』という言葉の使い方が適切ではない。『重点措置』の方が良い」と述べ、使用しない考えを示した。