新型コロナウイルスの防疫処置を巡り、いきなりソフトバンクの外国人選手の管理不行き届きが分かり、政府の文部科学省とスポーツ庁を怒らせている。

影響は12球団全体に及び、3月末から続々と入国し、2週間の隔離期間を過ごしている外国人選手への監視体制は一層厳しくなるだろう。

 文科省の関係者から漏れてきた情報によると、3月28日に来日したソフトバンクのウラディミール・バレンティン外野手(36)とニック・マルティネス投手(30)は出国前のPCR検査と日本到着時の空港検疫で陰性判定を受け、翌29日に福岡市内に到着。

入国した成田国際空港からは公共交通機関を利用せず移動した-と球団側から発表されていた。

 ところが、プロ野球12球団が文科省とスポーツ庁に提出した「防疫処置の徹底」を骨子とする誓約書の約束事項を順守していない事実が判明した。

 「文科省とスポーツ庁に対して提出した誓約書は、12球団で合意した統一の内容です。そこには、外国人選手が来日後に宿泊するホテルがあらかじめ指定されていた。しかし、ソフトバンクの外国人選手は指定以外の宿泊施設に泊まっていた。さらに、12球団が誓約書で約束していた球団の担当者も同行していなかったことが、明らかになったのです。外国人選手の入国が緩和され、いきなりの誓約書破りですからね。文科省もスポーツ庁もカンカンです」とは文科省の関係者だ。

 事態を重くみたNPB(日本野球機構=井原敦事務局長)はソフトバンクに猛省を促すとともに、他の11球団にも来日した外国人選手への管理を改めて徹底するよう、緊急要請した。

 政府が1都3県への緊急事態宣言を全面解除した3月21日以降、プロ野球は在留資格を持っていなかった47人の外国人選手(支配下選手37人、育成選手10人)の来日に向けた手続きを開始。

入国が遅れていたDeNAのネフタリ・ソト内野手、タイラー・オースティン外野手や、巨人のジャスティン・スモーク内野手、エリック・テームズ外野手らが3月末から相次いで入国している。

 入国を許可された背景には、プロ野球側からの粘り強い折衝があった。

野球選手やJリーグの選手はオンラインやテレワークなどでの“勤務”は不可能なため、公益性も含めた「特段の事情」を認められたのだ。

そして、スポーツ庁に対して12球団とNPBが連名の誓約書と入国後の活動計画書を提出。

関係省庁が選手1人ずつを精査し、承認した上でビザ発給手続きに入っていた。

つまり、文科省やスポーツ庁に提出した誓約書は、外国人選手が入国するための“通行手形”にも等しい。

 ところが、ソフトバンクの球団と外国人選手がいきなり誓約書の約束事項を破ってしまった。

折しも、シーズンが開幕して約1週間が経過したプロ野球では、ヤクルトの西田明央(あきひさ)捕手(28)と球団スタッフ1人がコロナ感染の陽性判定を受け、隔離された。

濃厚接触者となる可能性があるとして山田哲人内野手や青木宣親外野手が「特例2021」の対象選手として出場選手登録を抹消された。

チーム内で感染者が出れば、試合運営にも大きな影響が出る。

プロ野球界全体が新型コロナウイルス感染に神経をとがらせている中で、いきなり誓約書を破ったのだから、球界首脳が頭を抱えるのも無理はない。

 出国と入国の際にPCR検査を受け、陰性判定されたことで気が緩んだ…と見る関係者もいるが、プロ野球界が政府に行った約束事がいきなり破られた。

ガバナンス(組織統治)が効いていない業界とみられても仕方ない。

産経新聞