日本時間けさ6時前から始まった、バイデン米大統領による2兆ドル規模の経済成長策の発表。

すでに新型コロナウイルス対策で1.9兆ドル。

さらに経済成長策には第2弾も控える。

市場が気になるのは財源だ。

ホワイトハウス発表の資料をもとに、法人増税6950億ドル、海外収益への課税4950億ドル、優遇税制撤廃などで2710億ドルの歳入を見込むとの試算もある。

しかし、増税だけで不十分なことは明らかだ。

バイデン政権としては、今後10年というタイムスパンで見れば、集中インフラ投資により米国経済の生産性を上げることで回収できるとの考えだが、市場は待てない。

当面、国債依存度が高まることは間違いなかろう。

そこで期待されているのが米国債保有額1.2兆ドルと世界1位の日本だ。

第2位の中国が1兆ドル超だが、近年、ドル離れ傾向が強まるなかで減少傾向にある。

さらに、頼みの米連邦準備理事会(FRB)も、これまで2兆ドル規模を保有してきたが、今後はテーパリング(量的緩和縮小)も視野に入る。

その結果、相対的に日本が有力な買い手として浮上してきたのだ。

特に、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)とセイホの名前が有力な米国債購入保有者として名前が挙がる。

本欄でも、今回の米10年債利回り急騰過程で、ジャパンマネーの動向がウォール街で、これまでになく注目されていることに言及してきた。

例えば、モルガン・スタンレーの債券アナリストは実に丁寧に米10年債利回りの日本時間(時間外取引)での動きを分析している。

今年2月に同レート上昇が加速したときは、そのほとんどの事例で日本時間日中に上がった(日本勢が売った)という。

3月に入ると、米連邦公開市場委員会(FOMC)前までは、米国債売りが日本市場とロンドン市場の取引時間中に半々で起こった。

そして直近では、アジア時間帯での米国債買いが抑制要因となり、利回り上昇が頭打ちになったと記している。

この日本勢の動きは主として期末決算要因による現象だが、ニューヨーク市場参加者の投資家心理や市場予測に少なからず影響を与えたとの分析だ。

けさ発表の最新統計でも、日本の投資家の外国債券買いが2007億ドルと2週連続で増加している。

今後の動向については、日本が新会計年度入りすれば、機関投資家の米国債購入が再開すると期待されている。

為替のヘッジコストを入れても、十分に魅力的な利回りがあると見込んでいるのだ。

かくして、ジャパンマネーは、バイデン政権の「財源」として重要な存在として浮上しつつある。

深読みすれば、菅首相をバイデン大統領が初の外国人賓客として招待するなど、日本厚遇が目立つ。

米国債購入の最優良顧客に対するバイデン流の「おもてなし」なのかもしれない。

これからバイデン大統領は、特に増税に関して米議会共和党の強い反対と対峙せねばならない。

民主党内の急進左派からは、これでは不十分との声も上がる。

国内では四面楚歌(そか)のごとき状況に置かれ、財政的には日本の存在感が強まりそうだ。

ゴルフ友達の日米前首脳時代より強い切迫感が漂う。

(豊島逸夫) 日本経済新聞 2021年4月1日 11:44