※ダイヤモンド・オンライン  戦後、横浜に設立されたカトリック男子中高一貫校の聖光学院は、神奈川県最多の東京大学合格者を輩出するまでに進学実績を上げている。

同校OBであり、生え抜きの教員として、半世紀にわたりその成長を見つめてきた工藤誠一校長。

2021年の中学入試を振り返りながら、今後目指す教育の内容についても語ってもらった。

(ダイヤモンド社教育情報、撮影/平野晋子)  ――在校生も東京からが多いのですか。

 工藤 毎年第1回の合格者は220人前後(2021年は221人)ですが、圧倒的に東京からの受験者が占めています。

 今年も算数の平均点は48点台でしたが、それでも90点以上取る受験生はいっぱいいる。

「何でこの試験で92点とか取れるのか」と見ると、みんな東京からの受験生。

それだけ地元・神奈川で聖光を希望する生徒が入りづらくなることは否めません。

 経済格差と教育格差には相関があるといわれることがあります。

確かに、うちの在校生にも豊かな層が多いといわれるJR山手線内の家庭の子どもが増えてきました。

 ――その傾向は続いているのですか。

 工藤 電車の相互乗り入れなど交通の便が発達したので、県単位というくくり方ではなく、首都圏という領域の中で学校選びが行われる時代に変わってきました。

 一方で、どうしても私学というのは、ある程度のゆとりある層が子どもを通わせていることは否めないのかなと思います。

特に小学校は。

 ――総務省の調査では、私立小学校に通う子どものいるご家庭の半分は世帯所得が1200万円以上でした。

 工藤 それはそうですね。

夫婦2人で稼いでいると 2000万円くらいになる家庭も多いのではないですか。

 ――私立の小学校でもアフタースクールをやっているところがほとんどですから。

 工藤 私は横浜YMCAの理事長もやっていますが、青山学院横浜英和、聖ヨゼフ、横須賀学院などキリスト教系の学校など、アフタースクールを結構頼まれています。

昔は「お母さまが参加する行事もたくさんございまして」なんていう感じで、私立小学校では専業主婦を前提にしていました。

もう時代が変わっています。

● 国立難関大学に向かう進学校の進化論  工藤 出願者数だけを見ると、今年はうちがかなり減ったように見えますが、受験生の質は落ちていません。

在校生の兄より優秀だと前もって聞いていた弟の受験生も、今年みたいな算数の問題だと、「こんなに難しいのか」と軒並みダメでした。

やっぱり、それだけ受験生の全体の質は上がっている。

 うちの学校の入試では、奇をてらうような問題は出しません。

そうした問題は、一見おもしろそうに見えますが、地道に努力したことや本当の論理的思考力を測ることには向かないからです。

とはいえ、記述問題に重きを置きすぎるのも、選抜試験には適さないでしょう。

 ――そういう意味では非常に入試問題をよく研究して出していらっしゃいますね。

 工藤 それはあるかもしれません。

作問には割と時間をかけています。

1人の先生に1分野だけを任せるとか、そういうことはせずに、科全体である程度作らせる形を取っています。

 ――ところで、私の大学の同級生が近所の県立緑ケ丘高校出身でした。

当時はまだ、聖光学院はそれほど進学校でもなかったと思います。

どういうことがきっかけで進学校化が進んだのですか?  工藤 東大合格実績に関しては、現役浪人合わせてうちが県内トップ校です。

少なくとも私が校長になってから、現役生実績では栄光学園を上回ってきました。

県立高校との逆転は、やはり2004年度まであった学区制度の影響でしょう。

また、1985年から入試を2回行うようになり、間口を広げたこともあると思います。

 進学校の進化論というものがあります。

主に日東駒専(日本・東洋・駒澤・専修)に入れていた学校が、GMARCH(学習院・明治・青山学院・立教・中央・法政)になって、それから早稲田や慶應義塾へとシフトしていく。

これは単純に言えば、とにかく英語の力を伸ばしていけば可能になります。

 ところが、国立の難関大学となると、それだけでは足りない。

文化的な重なりというか、素養がないと無理です。

6年かけて育てるものがないといけない。

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