6年前から待望のスーパーマッチ 2021年、格闘技界最大の話題は、対戦が現実味を帯びてきたと言われる「武尊vs那須川天心」戦だ。

誰もが待ち望むドリームマッチの実現に向け、数々の報道もファンの興味を引いているが、状況はどこまで進展しているのか。

複数の関係者からの情報を合わせて考えると、まず言えるのは「両陣営とも前向きに動いてはいるが、具体的には何も決まっていない」ということだ。

では、対戦実現のためには何をクリアする必要があるのか。

現状を整理してみよう。

K-1の武尊(筆者撮影) そもそもの始まりは、2015年の那須川からのアピールだった。

2014年に開催された新生K-1旗揚げ戦での劇的KO勝利からエースとして活躍してきた武尊に、立ち技格闘技イベントRISEで売り出し中の“神童”が対戦希望を表明。

大きな話題を呼んだが、両陣営の思惑は噛み合わなかった。

K-1は那須川との独占試合契約を求める。

それがK-1では選手契約の基本であり、その後の再戦の流れまで考えてのことだろう。

しかしK-1独占契約では、那須川はホームリングであるRISEにすら出られなくなる。

とても呑める契約ではなかった。

那須川陣営は、誌面やSNSでファンを味方につける。

結果、対戦に消極的に見えてしまった武尊に「逃げるな」といった批判が殺到することになった。

その後2017年からは、フジテレビでも中継される大型イベントRIZINの試合に出場したこともあり、那須川は那須川で飛躍的に知名度を高め、我が道を征くようになった。

MMA(総合格闘技)の大会としてスタートしたRIZINだが、那須川の活躍によりキックボクシング部門が確立するほどだった。

一方、武尊も2018年にK-1で3階級制覇。

お互い、選手としてのバリューを上げていく。

一時は那須川も「(対戦は)ないんじゃないですか」とコメントするような状況になった。

しかし、今度は武尊が動いた。

対戦相手の名前こそ出さなかったものの「みんなが見たい試合を実現させる」と公言したのだ。

そのために武尊は数多くの関係者に会い、実現の可能性を探ってきたという。

そして昨年大晦日のRIZINさいたまスーパーアリーナ大会。

武尊はリングサイドで那須川の試合を見守り、グータッチをかわす。

2人だけで会話する場面もあった。

とはいえこれは“武尊、RIZINへ移籍”を意味したわけではなかった。

会場にはK-1スタッフの姿もあり、武尊がインタビュースペースでコメントする際にはRIZINのロゴ幕が外される配慮も。

あくまでK-1の選手として観戦し、状況を動かすために行動したということだ。

そもそも次戦に勝てるのか? ようやくここまできた。

が、ここから試合を実現させるまでがまた大変なのだ。

何よりも伝えておきたいのは、「武尊vs那須川」は2人にとって次の試合ではないということだ。

すでに両者とも直近に次の試合が決まっている。

まずその試合に勝たなければ、2人とも“次”には進めない。

那須川の次戦は2月28日、自身がデビューしたホームリング・RISEの横浜アリーナ大会だ。

那須川が対戦する相手は志朗。

一昨年のRISE世界トーナメント決勝でも那須川を苦しめた強豪だ。

ヒジ打ちなしのRISEでは異色のムエタイがベースの選手だが、ルールにアジャストするためボクシングを徹底的に練習。

この1年あまり、ひたすら“打倒・天心”のために過ごしてきた。

昨年11月、那須川の対戦相手を決めるトーナメントで圧倒的な実力を発揮し、優勝。

かつての敗北を乗り越えて実力でリマッチの権利を掴んだ志朗を、那須川は最大級に評価している。

一方、武尊は3月28日のK-1日本武道館大会で、スーパー・フェザー級タイトルの防衛戦がある。

彼に挑むのは、K-1の系列イベントKrushのチャンピオンであるレオナ・ペタス。

重いパンチが持ち味で、武尊が苦戦した村越優汰をKOするなど勢いに乗っている。

攻撃力は武尊と互角と言ってよく、長いリーチがもたらす“制空権”の大きさは脅威だ。

2021年2月24日 6時0分 現代ビジネス