──研究の詳細は?  新型コロナウイルスが原因の肺炎の病状等を研究したくても、人の肺の細胞はなかなか手に入りません。

多くの研究者が、サルの腎臓に由来するVero細胞を用いて感染実験を行っています。

iPS細胞を用いると、ヒトの肺や心臓の細胞をつくり出すことができます。

京都大学医学部附属病院や国立感染症研究所の研究者と協力し、iPS細胞由来の肺組織に新型コロナウイルスを感染させ、病態解明や創薬の研究を進めています。

──病態解明は進んでいますか?  CiRAと京都大学iPS細胞研究財団では、りんくう総合医療センターや京大病院の協力のもと、新型コロナウイルス感染でさまざまな症状(無症状、軽症、中等症、重症)を示した後に回復した方々の血液からiPS細胞を樹立しています。

今後、希望する国内外の研究者に配布する予定で、さらに京大病院、大阪市立大学、大阪府などの自治体と協力し、疫学調査や、抗体やT細胞活性といった免疫反応の研究も進めています。

新型コロナの収束に少しでも貢献できればと考えています。

──本職のiPS細胞研究はいかがですか?  基盤的研究と、再生医療用iPS細胞ストック事業を進めています。

医療用のiPS細胞を予めストックしておくことにより、品質を確認したiPS細胞を研究機関や企業に迅速に提供することを目的としています。

拒絶反応を起こしにくい免疫型を持つ健常者の血液から医療用のiPS細胞を作製し、日本人の約40%に拒絶反応の少ないiPS細胞を提供することが可能となっています。

また、これら医療用iPS細胞において、ゲノム編集技術を用いて免疫反応に関わる遺伝子を書き換える作業を行っており、2022年には新たな臨床用iPS細胞の提供を開始する予定です。

ゲノム編集iPS細胞は、日本のみならず世界中のほとんどの患者さんに対して拒絶反応の少ない再生医療を提供できると期待しています。

さらに25年ごろを目標に、患者さん自身の細胞からつくったiPS細胞(マイiPS)を短期間で作製する技術開発を進めています。