突然だが私は昔から『八重歯』に強い憧れを抱いている。

笑った口元から八重歯がのぞくだけで「明るそう」「憎めない」という印象を他者に与え、同時に『鬼の末裔(まつえい)感』をも演出することができるからだ。

しかし、いくら憧れたって歯が生え替わることはない。

遺伝子が憎い……ってほどでもないけど、できれば八重歯のある人生を体験してみたかった。

そんなある日、秋葉原のコスプレショップで見つけたのが『付け八重歯』だ。

コレは “普段使い” でもイケるのだろうか? 『付け八重歯・接着剤セット(1.3cm)』は税込1430円(接着剤なしだと税込858円)。

この接着剤というのが…… まさかのポリグリップ! 入れ歯安定剤として名前は広く認知されているポリグリップ。

あと30年くらいは縁がないと信じていたが、こんなに早くデビューの日が来るとは。

付け八重歯の使用方法は「歯の上からカバーのようにかぶせる」という単純なもの。

個人的に真ん中から4番目の歯を八重歯にしたいイメージだったのだが、奥歯への装着は形状的に困難と判明した。

一般的な八重歯は3番目の歯というケースがほとんどらしく、漫画の読みすぎにはくれぐれも注意したいものだ。

ポリグリップの説明書きには「最初は少なめの量でお試しになり、適量を決めてください」とある。

考えてみれば入れ歯って、どういうシステムで固定されているか全く知らなかったな。

うまく装着するにはそれなりの経験が必要なのだろう。

私はやや苦戦しつつも付け八重歯の装着に成功。

少し尖りすぎている気もするけど、こういうのは見慣れるまでは不自然さを感じるものだ。

好みの形に削ることも可能らしいから、しばらくこのままで様子をみることにしよう。

アップで見ると色の違いや隙間のズレがバレバレなのだが……結果……だ?れも気づかない! ・八重歯チャンス到来中 なぜ気づかなかったのかを後ほど聞いたところ「 “なぜフェイスシールドをしているのか” という点に目がいった」という回答が目立った。

これは逆を言えばつまり、アレだ。

堂々と口元を隠せるコロナ禍の今、絶好の八重歯デビューチャンスなのではないか。

付け八重歯着用中は意外にもあまり不快感がなく、ものは食べづらいが飲み物なら普通に飲めた。

たまに取れそうになるが恐らくテクの問題だろう。

ただし笑うとき歯グキが出るタイプの人は注意が必要。

ちなみに付け八重歯にはサイズ展開があり、この日見つけた最大サイズは1.8cm。

着用してみると…… こちらはさすがに普段使いは難しそう。

ドラキュラ等のコスプレ用であれば、これくらい大きめのほうが向いていそうだ。

世の中には八重歯に憧れるあまり、実際に歯を削っちゃう人もいるらしい。

この八重歯デビューチャンス(略してヤエチャン)に、まずは小さめサイズからトライしてみてはいかがだろうか。